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北海道の置戸町とタイのナーデー:特別報告第一号
「輝く瞳  笑顔いっぱいの子供達に会いたくて・・」
 
置戸(日本)〜ナーディー(タイ)・・・相互交流の一歩から  
                             

                                             置戸町議会議員 岩藤孝一



                     

タイ東北部ノンカイ県のナーディー校の中高校生約430人の満面の笑みの輪の中で、バイシーと言われる聖糸(サイシーン)なる糸を手首に結ぶ歓迎の儀式から、私達のナーディー訪問は始まりました。


仏教(小乗仏教)を信仰しているとのことが基本にあるのでしょうが、そこには現代日本の様な形式だけではない人間としての『心』を感じることが出来る世界がそこに広がり、経験のない感動の中に自分がいました。


学校内であるにも係わらず、村の長老によるお経と聖なる儀式、そして子供達が次々と祈りと共に結んでくれる1本1本の白い糸には、私達の様に外から来た人達を迎える心からの歓迎の意と健康、旅の安全、そして今回の訪問による出会いが実りあるモノであるようにとの願いが込められているとの話を後に聞くに至って、「歓迎」という当たり前に聞いていた言葉に人の出会いに大切さを感じるにはいられないナーディのスタートでした。

約一年ほど前、今回の交流訪問を日本/タイのFOA(Friend  of  Asia)メンバーの方々と共に準備しサポートして頂いたFOA(非営利ネットワーク)代表の中村寿孝さんより見せて頂いたタイでの写真は、有る意味で衝撃でさえありました。「モノ余り」の日本人としての目線からすれば、決して現代的ではないと思われる生活の様子、そしてそんな中でありながらも屈託のない子供達の笑顔、また学校での真剣な授業風景・・・そして子供達から中村さんへの年賀状は驚くほど素晴らしい日本語で書かれた物でした。何故こんなタイの田舎の子供が・・・・・それらは、文字や言葉には表しがたいほど強烈な印象を受けるものでした。
その印象の場所こそタイの小さな村ナーディでした。

そこには「輝く瞳  笑顔いっぱいの子供達」がイキイキと息づいていました。


                             (出発前:置戸でタイ語教室)

 私達は新しい可能性へのチャレンジの一歩の時を迎えました。
成田から約6時間半、バンコクへ・・・そしてバンコク中央駅ホアランポーン駅から夜汽車の乗っての12時間、東北部ノンカイの駅へと向かったのです。

それぞれ、移り変わる車窓の向こうに広がるタイの夜景を眺めながら明日の子供達との出会いに想いを巡らせているのでした。 ゆっくり流れる時間、無意識に耳に入ってくる欧米人旅行者や現地の人々等の会話か
ら、既に人種など何の意味もない関係の中に入り込んでいること、人間としての存在でしかなことを確認するのでした。


数時間後、朝日に照らされたタイの大地を眺めた時、その車窓に広がる景色は正にあの写真の風景であり、赤土のサトウキビ畑で働く人々の姿を確認した時、確実にタイに来たと確信出来たのです。そしてノンカイ駅へと到着。そのホームにはノンカイの教育関係者の方々が正装した姿で待っていてくれました。首に花のレイを掛けてくれ、サワディーカップ!!「よくいらっしゃいました!」多くの方々の出迎えにちょっと「ビックリ!」、そして心からの歓迎に心温まる気持ちになったことをはっきりと
思い出します。


子供達の「ようこそいらっしゃいました!」「疲れてはいませんか?」「お元気ですか?」と言う流ちょうな日本語。疑問でもあった生徒達の日本語での挨拶はどこから生まれてきたのか?その疑問は徐々に解ってきました。FOAのメンバーでもある女性のラチャニー教頭先生が数年前になりますが、これからの時代を考えた時にタイの子供達に日本語を教えたいと思った自分を信じて休職をしてまで一人で札幌へ向かい、東京美装の仕事をこなしながら日本語の収得をされて今生徒達と向かい合った毎日を送っているとの事でした。たった一人のスタートからでした。


そして語学教師のランプーン先生等と共にの熱心な日本語教育により子供達の日本への関心はとても高く、高学年になれば日本語でのコミニュケーションをはかることは出来るのです。



また英語教育も盛んであり外国語学習により培われた国際感覚は日本の子供達よりはるかに豊かだと感じます。毎日、きちんとアイロンを掛けた制服を着、スクールバスでの登校、そしてグランドにての朝礼での国旗の掲揚とお祈り・・・「我々の子供の時も同じようなものだった・・」と、議員Sさんは、遅刻してお尻叩きの刑を受けている子供達を見て微笑んでいるのでした。

当然でしょうが、授業中は真剣そのものであり、その眼差しは学ぶことが出来ることへの感謝の気持ちが表れているのではと思うのです。学校へ来ることが楽しくてたまらない・・そんな雰囲気があります、日本のような悲痛な詰め込み教育的なものは無いのです。真剣ではありながらも我々が教室に入り、先生?になって教壇立つやいなや、矢継ぎ早の質問とそれに対する黄色い声と笑い声が広がり、日本の歌「さくら」を歌ってください〜の要望で私達は・・さくら さくら〜と、 うん?そんな音程だったっけ? まっ、良いか・・・と。 お返しにと歌ってくれた女の子のキロロの「ベストフレンド」の歌声に救われたのでした。 


ピックアップの荷台に乗って、いよいよホームスティー先へと・・・日本では考えられない光景であり「これって、ウルルン滞在記か?」と話しながら、摩訶不思議な世界へと向かうのでした。サワディーカップ!!の出迎え。小さな体で荷物を運ぼうとしてくれる子供達・・早速の「散歩に行きませんか?」の誘いで集落のお寺へ・・気が付けば十数人の子供達との行列・・初めて出会う人々の笑顔・・小学校校庭でのセパタロー・・まさにタイ東北部ナーディー。


「お腹は空いていませんか?」の言葉から始まった夕食・・・確か5人家族であったはずのマナンヤちゃん家族が、数十人にふくれあがっている!! 既に誰が誰だか把握出来ない状況になって、盆踊り会場さながらの雰囲気となっているのです。


タイのお酒「ラオ酒」「シーハビール」を進められ、美味しい餅米と卵の料理とくだものと・・ いつの間にか40人は超えているであろうか。確かに家の造りや生活水準は日本的に言えば、遅れているのかもしれません、しかし電気があってテレビ、冷蔵庫、VCDまでもあるのですから、価値観の違いとしか言えないのです。 高床式の家の構造も気候の関係でベストなのでしょう、気合いを入れての水浴びも気持ちの良いものでした。



ホームスティー2日目、ノックちゃん宅の耕耘機、牽引された荷台に乗っ
ての十数人での川までの散歩・・運転するのは高校1年生のアッパリンちゃん。川魚を捕る漁師の横で「どうだ!」と言わんばかりに川に飛び込む男の子達、ティパワンちゃんの「飛び込みしますか?」の誘いに腰が引ける。みんな無言・・・何とか断り(笑)、沈みかける夕日に照らされながら大きな笑い声とともに散歩を終えたのでした。 


家事のほとんどをこなす子供達にやらされていると言う感じはなく、当然のように炊事、洗濯、掃除をしている。そして食事が終わると、日本語を書きつづったノートを持った子供達数人に囲まれ、夜遅くまでの会話が続くのです。シャイであり照れ屋であり、そして積極的でもあり、そして何よりも明るい子供達、あの時見た写真の中の笑顔がそこにあるのです!!県庁、県議会、教育委員会、郡役場、警察所、そして病院関係者の方々も我々をとても温かく向かえ入れてくれました。タイと日本両国の国旗、「OKETO」と書かれた歓迎の横断幕、そしてお互いに握手を交わす。その様子はテレビで見る国際的な首脳会談の様ですらありました。


緊張した雰囲気の中にも通り一遍の形式だけで済ませてしまおうとする姿勢は微塵も感じられず、「ようこそいらっしゃいました!」という言葉に心からの歓迎の意を全ての場面で感じるのでした。


35歳という県議会議長さんからのお土産・・「これって凄いことなのかも〜?」と戸惑うのでした。


「模索の旅に第一歩に立ち上がってみると」座っているときに見えなかった同じく時
代に真正面から取り組み未来を創っていこうとするイキイキとした人達が世界に沢山いる事が解りました。私達の一歩は小さいかもしれませんが、自分を信じて一人から歩き出したラチャニー 先生のように歩き続けたいと思います。


その新しい置戸プロジェクトの誕生に多くの社会的連帯が寄せられています。



今回の私達のミッションにあたり子供達が安心して来れる為に病院や警察など寄れると役に立つか等を含めて訪問先からすべて心ある検討や準備に日本サイドと連携をしてあたって頂いたナーディ校のスティープ校長先生やFOAメンバーの先生方。


FOAネットワークではタイのリーダーでもあり通訳また現地での細かなお世話をして頂いた著作家でもある阿部さん、同行撮影取材をして下さった「GPA」の大原さんはじめスタッフの方々、日本メンバーでタイ語を出発前に教えて頂いた北大修士課程のサムットさんなど多くの方々のサポートがあったこと、加えてこの社会的連動性の輪の広がりが置戸の行動と同期していると確信を持てました。



帰路、バンコクに向かうチャオプラヤー川の船上にて・・・先生方との懇談の中でケイサン先生が言った「タイの子供達はどんな所でも、どんな
状況でも負けない生きる力がある!!信じています!」そんな言葉を思い出していた。


ホームスティーの夜、マナンヤちゃんが言っていた「将来はツアーガイドになりたい〜」「それならば日本語も英語も頑張って勉強してね!?」「うん、頑張ります〜」「また来るからね!?」 そんな会話の中での、大きな瞳の中からの涙・・ 最後まで本当によくお世話して下さったスティープ校長や先生方、子供達の笑顔・・お別れの朝礼で仲間がが歌った『乾杯』の歌詞、「君に幸せあれ〜!!」 そんなことを思い出すと、目頭が熱くなります。


ドンドンと高層ビルが建ち並ぶバンコクに近づくにつれて、今回のナーディー訪問の感動が強くなっていくのでした。 こんな気持ちになれることに感謝したい・・・そんなタイに感謝したい・・・そしてこんな感動を未来ある子供達に与えてあげたいと強く思うのです。


     
最後になりますが、「輝く瞳  笑顔いっぱいの子供達」そして今回の訪問を数ヶ月前から仕事を惜しんでコーディネイトをして同行サポート頂いたFOA代表の中村寿孝さん、お世話になった沢山の方々に心からお礼申し上げます。 


また、この訪問記を読んで下さった方々のご意見や感想等も合わせて
お寄せ頂ければうれしく思います。  
コップン マーク  カップ!! 本当にありがとうございました。
     
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